事故日から勤務予定の被害者である場合に休業損害を認めた事案
交通事故の被害者が、事故日から勤務する予定であり、勤務実績のない場合であっても、その勤務予定の会社の初任給を基礎として、休業損害を認めた事案があります(東京地裁平成13年5月30日判決)。
上記事案において、裁判所は、被害者は平成8年2月8日からA会社において初任給15万8000円で勤務する予定であったが、同社の給与は勤務年数に関わらず個人の営業成績によって大きく左右され、また、同社では定期的に営業社員に対する審査がなされ、成績次第では降格又は退職となる措置もあることからすると、症状固定日までの短期間における現実の得べかりし利益である休業損害を算定する上で、被害者主張に係る上記初任給額を超過する額を基礎収入とすることが合理的であるとは直ちには認め難いとして、初任給の月額15万8000円を休業損害を算定するための基礎収入とせざるを得ないとしました。
また、被害者の妻は社会保険労務士として稼働しており、被害者は妻とともにコンサルタント業務を合同で行っていること、平成8年にも自らの労働による稼働収益を計上することができていること、遅くとも平成8年10月2日には原告は仕事に従事していることがうかがえること、原告の後遺障害による労働能力喪失率については35パーセントと評価するのが相当であることを考慮し、事故日である平成8年2月8日から同年10月1日までの236日間を100パーセントの休業実態があったものとして、同月2日から症状固定日である平成10年3月4日までの520日間を35パーセントの休業実態があったものとして休業損害を算定するのが相当であるとし、休業損害は220万1188円であるとしました。
なお、上記事案においては、治療費、入院雑費、通院交通費、休業損害、逸失利益、入院慰謝料、後遺障害慰謝料等の合計392万6500円の損害が認められています。
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